ぜろますのブログ

心が泣いている(内定だけに)

特別講義でうまれたSF

以前、僕が学生だったころ、ある講義がありました。

6グループに別れ、各グループから出たランダムなテーマ6つを繋げた大テーマから

短編の小説を書こう

という、字嫌い殺しの企画です。

完成した作品はプロの作家である講師の方が評価をしてくれるのですが、僕が提出期限を忘れてしまっていたために評価をもらえず、悔しい思いをしていました。

 

さて。

本日(2020/1/27)、たまたま例の作品を見つけました。メモ帳に残っていたのです。

というわけで、当時提示されたテーマと共に、僕の書いた文を載せてみます。

テーマと一緒に、「自分ならどう料理するかな」という視点も含めてお読みいただければと思います。

なお、本文はあらかじめ提示されていた字数制限に準拠しております。(500〜1500とかそんなだった気がする。あるいはフリーだった気もする)

よろしくお願いします。

 

 

1.《底辺ユーチューバーが》

2.《地球ができて少したったころ》

3.《ヨガ教室のこういしつで》

4.《ハゲたトランプ大統領と》

5.《なんかしらんけど》

6.《食事をする》

 

 

「おはようございます、こんにちは、こんばんは。今回の動画ではーー」僕は今でも、夢を見ているんじゃないかと思う。


僕はテラⅡで産まれた最初の世代のデザイナードヒューマンだ。環境の悪化から住処を失いつつあった人びとは、ハビタブルゾーンにある幾つかの衛星や惑星を再構成して、新しい地球を作る方法を編み出した。これがテラⅡ計画。

テラⅡには限られた上位階級のネオクラスと、僕たちデザイナードヒューマンが2000人規模で暮らしている。植生や環境は限りなく、“元の地球” に寄せてあるけど、文化の多くは独自のものになっている。

数少ないサルベージされた文化の一つは、《YouTube》。ーーなんせGoogleは大企業だからね。2000年代が続くうちは生き残るだろうさーー僕は《YouTube》上で動画コンテンツを配信する仕事をやってる。収入は多くはないけど、それでも、今テラⅡにいる人たちは、みな食いっぱぐれがないように、ほどほどに管理されているからーーそうでもなきゃ、こうして《サイコ・ヨガ》に通うことなんてできなかったと思う。

《サイコ・ヨガ》は、マインドフルネスの延長にある新しいヨガで、精神統一に重きを置いている。いわばテラⅡ特有の文化だ。

この施設のチーフとはたまたま知り合いだったから、許可をもらって、配信はいつもここでやってる。チーフの名前はジャン。ジャスミンが本名だけど、みんなジャンって呼ぶ。「ジャン、本当にVIPルームなんて使っちゃっていいの?」「区画アルファの《サイコ・ヨガ》ショップなんて、ネオクラスは使わないからね。自由に使っていいよ」

VIPルームから配信なんて、流石に緊張する。結局、更衣室で準備を始めてしまった。準備自体は簡単だ、端末のツールパネルから、配信用のツールを選ぶだけ。あとは《開始》を押せばーーノックだ。続いて、ジャンの声がした。「ごめん、やっぱり空けて貰える? この人は相席でいいって言うんだけど」返事をするよりはやく、ドアがスライドした。

ドアだった空間を挟んで向かいには、髪の薄い、小太りの老人が立っていた。「やあ、もうヨガを始めた頃かね? 悪いが私にもスペースを空けてもらえないか。今日がはじめての《サイコ・ヨガ》なんでね……」名をドナルドという薄毛の男は、金髪の様相をかすかに残した、明るい髪を持っていた。

「冷凍保存。知っているかね? 私は人類史で初めてとなる、解凍された人間なのだ。人呼んで、ドナルド・コールドマン・トランプ」

「どうも、ミスタードナルド。僕はベンジャミン、ベンって呼んで」

握手の瞬間、彼の手は冷たいのかな、と期待したけど、そんなことはなかった。「この機材は何かね? 君がメディアの人間でないといいのだが。ゴシップはごめんなのでね」

これがYouTube用の配信セットだとわかると、彼は目を輝かせた。ぜひ出たいって言うんだ。自分は、アメリカの45代大統領だ、とも。

「やっぱり挨拶は無しだ、まずはみんなにも紹介しなきゃ。隣の彼はドナルド……いや、ミスタートランプ。アメリカの……随分昔の大統領だ。75歳……ほとんど当時のままなんだぜ!? 僕は大統領とパスタを食べてる!」

大統領が、頭を指差しながら僕とカメラの間に顔を出した。「髪は禿げてしまったがね。冷凍保存の影響だ」どうしてパスタを食べることになったかって、大統領のたっての希望だったからだ。幸いデリバリーの文化はサルベージされていたからーーAmazonバンザイだーー晴れて僕らは、デスクを囲んでパスタを食べてるってわけだ。

「大統領」僕は言った。「せっかく目覚めたからには、テラⅡでやりたいことがたくさんあるんじゃない?」慌ててパスタを飲み込むと、大統領は「もちろんあるとも「地球を、再び偉大な星にするのだ」

 

 

以上になります。

「地球ができて少したったころ」というテーマを書いた人、

マジ他グループがどうなっても構わないんだな、という恐ろしさがあります。

時系列めちゃくちゃになるだろ。

というわけで、「テラII」という架空の地球をつくって、「第二の地球ができて少したったころ」という説明を加えてみたのでした。

 

いかがでしたでしょうか。

あなたならこれらのテーマとどのように戦いますか。

ぜひ、僕に教えてくださいね。

 

それでは。