ぜろますのブログ

心が泣いている(内定だけに)

ワテグナの美人

こんにちは。ぜろますです。

 

お世話になっております。

 

 

 

皆さまは、自分の見た夢を覚えていますか?

 

僕は結構覚えているのですが、それが物語性を秘めていたりして、楽しくなったりしています。

 

 

さて。

 

僕は以前「カクヨム」という、電子世界に自作小説を投稿できるサイトに、小説を連載しようと企んでいたことがあります。

 

何を隠そうこの記事のタイトルこそ、その小説の題名なのです。

 

 

「ワテグナの美人」は僕の夢に出てきた絵画の名前で、現実には存在しません。ちゃんとインターネットで調べました。ヒットしないです。

 

それがどうも頭に残っており、あるときこれを題材に小説を書こう、と思い立ったのです。

 

 

 

 

ですがこの小説、未完です。

 

 

 

 

僕のズボラかつ、物事を先送りにしてしまう性格が全ての原因なのですが、このカクヨムというサイト、名前の割にライティング用のアプリはないのです。リーダーしかありません。

 

いちいちWEBブラウザを立ち上げているのでは、僕のカスな性格から察するに、永遠に未完なままでしょう。

 

というわけで、アプリ上で記述のできるはてなブログ上の方が、「ちょっとは頑張るのでは?」と思ったのです。

 

 

肝心の本文はこの後掲載しますので、良ければご覧ください。第1部ですので、多分3〜4000文字あるかないかです。

 

よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワテグナの美人 #1

 


 集合アパートの一室で、男は夢を見ていた。とても妖艶で、見るものを魅了する、絵画の夢だった。
 
 「ワテグナ」
 
 男は、夢の中で絵画の題名とされている何かの名前を呟きながら、静かに目を覚ました。
 部屋のスピーカーからは、起床の合図となる、十分間の、《フォネティックコード放送》が流れていた。すでに二分経ってしまっている。もはや解読は不可能だろう。
 枕がわりにされ、しわしわになってしまった暗号書を、ベッド左手の小さな丸テーブルに置くと、布団を適当に押しのけながら、身体を起こした。
 早朝のコード放送を解読できたものには、配給が増量されて提供されるようになっている。
 暗号放送は、一日の放送の中で一番音が大きいため目覚ましがわりにもなるし、皆、配給のためとなれば必死になるので、その効果も抜群だった。
 けれども彼は、いつからかこれには、興味も熱意も抱けなくなっていた。それが罪になることはないが、それでも異端的であるのは確かだった。
 
 ああ、また、あの夢を見たような気がする。稀代の絵画、ワテグナ。かつて何処にも存在したことはなく、唯一この頭蓋の中にだけある、名画。
 目が覚めたときには、決まって名前だけが残っている。ワテグナ。図書館にも、資料館にも、そんな名前は出てこなかった。ワーグナーという名前は出てきたが、それではないということには、ある程度の自信があった。だが、それだけだった。
 姿かたちも覚えていないのだから、書き起こすことさえ叶わない。文字通り、夢でのみ会うことができる。
 一体あれは、どのような絵画だというのだろう? ワテグナとは、絵画に描かれた人物、あるいは風景に名付けられたものなのか。さもなくば、そういう名前の画家であるのかもしれない。
 それすらも、彼には定かではなかった。
 
 枕側を壁に向けるように置かれているシングルベッドで身体を起こし、視界の右側、柱のように突き出した配給ポケットへ目を向ける。そのすぐ下には、柱の中でスロープのようになっているポケットから飛び出た朝刊が、バラバラに散らばっていた。
 布団を蹴り飛ばすようにしながらベッドのへりに座り、足元の灰色がかった紙束を、整理にかかる。「雑な仕事をしてくれるな」チャーリーはひとりごとを呟きながら、薄っぺらい新聞の山を少しずつ整えていった。
 もはやどれが一面であったかもわからず、ひとまず一番上にあった紙面に目を通すと、それはどうやら社会面の記事であるらしかった。
 
 
【フォックストロット十二番通りで強盗】
 
【配給食、ゴルフ/ヤンキー、値上げに踏み切り】
 
【マイク・ノーベンバー大臣が横領容疑で訴追】

 
 重要だが、見てくれは小粒な記事が目立つ。特にはじめの記事などは、紙面の左端、ほとんど広告と見分けのつかないような場所に押し込められていた。
 何か明るいニュースはないか、と二つ折りにされた紙の端っこをつまみかけたところで、チャーリーはふと手を止めた。視界の端で、何か蠢くものを見つけたからだ。
 視線をかくかくと滑らせて対象を中心に収めると、それが鼠であることがわかった。野鼠は最近では珍しい生き物になったが、時たまこのようにして、通気ダクトや配給ポケットから屋内に滑り込んでくるのである。
 そうした鼠は大概の場合で、ダクトの降下中に身体を打つなどして死んでしまうか、少なくともなんらかのダメージを受けてしまう。彼が見た鼠が蠢いて見えたのは、同じように衝撃のためにどこかを痛め、痛みにもがいているがためであるようだった。
 チャーリーは立ち上がると、恐る恐る鼠の方へ近づいた。「暴れるなよ。暴れられたら、こっちも暴れるかもしれない」両手を、まるで盾か何かと誤解しているように構えながら、少しずつ距離を縮めていく。鼠は痙攣こそするものの、飛びかかろうといった凄味はない。
 チャーリーは鼠の様子を見て警戒を解くと、そのまま距離を詰め、鼠の前に膝をついた。「なあ、大丈夫か?」転んだ少年に手を差し出すようにして、鼠の身体を両手で包んでやると、そのまま眼前まで運んだ。
 鼠は返事をすることはなく、ただ、チャーリーを見つめて震えていた。チャーリーには、それが痙攣であるのか、恐怖からのものであるのかまでは、判断がつかなかった。「大丈夫だ、とって食ったりしないさ」そう言いながらも、チャーリーの足はキッチンに向かっていた。

 


 
 オスカー通りを見下ろす高台には、オスカーと呼ばれる青銅の像が建っている。
 オスカーの鼻頭に、一羽の小鳥が羽根を休めようととまった。よせばいいのに、急なところに止まるので、ゆっくりと滑っていってしまう。滑るので、少し羽ばたき、上の方にしがみつく。けれどもまた滑ってしまい、再び羽ばたかなければならなくなる。せっかく羽根休めをしようにも、これでは埒があかない。
 オスカーの真下には、背を向けるかたちで置かれたベンチがあり、そこにはケベックという男が腰掛けていた。
 ケベックは首だけを空に向けて、
そのまま像の方を見やった。オスカーの顔の上では、相変わらず小鳥が、停まっては羽ばたきの舞を繰り返している。ケベックは笑うと、胸ポケットからシガレットを取り出し、ポケット・マッチに起こした火で、そのままシガレットの先端に火をつけた。
 シガレットから出た煙は風に乗せられ登っていき、不快な焦げ臭い風となって、小鳥をかすめた。小鳥は慌てたように飛び上がり、羽ばたきと滑空を繰り返しながら、オスカー通りを飛び抜けていった。
 ケベックは、相変わらず空を見上げたままだった。

 


 
 キッチンから、ザク、ザク、と小気味いい音が聞こえてくる。チャーリーは丈夫なナイフを片手に、板に乗せた何かを切っていた。
 鼠の姿はというと、チャーリーのもう一方の手で、抱えられるようにして保持されていた。
 「キャベツは食うか? それとも、ゴミ箱でもっとマシな飯を食ったことがあるかもな」チャーリーは上機嫌でキャベツを乱切りにしていた。鼠の体躯に対してあまりにも大きく切られたそれは、チャーリーに言わせてみれば、「腹一杯食える飯」というつもりであるらしかった。
 
 鼠はライムと名付けられた。苔やらに薄汚れた姿は、どうにもライムと形容するのが適切に思われたからだ。
 ライムはチャーリーの手のひらを忙しなく動き回り、時おり、腹が減ったと示すために指を甘噛みしたりした。
 それを見たチャーリーはニッと笑うと、大きなキャベツの一欠片に軽く塩をまぶしてやり、つまんでライムの前に差し出した。ライムは手から落ちそうな勢いでキャベツに食らいつき、彼の体躯には大きいかと思われたキャベツ一欠片を、あっという間に喰らい尽くしてしまった。「まだまだあるからな、好きなだけ食べるんだ」ライムは応えるように、じっとチャーリーを見つめていた。
 
 チャーリーの住む集合住宅からそう遠くないところに、チャーリーの行きつけの雑貨屋がある。エーテルという店だ。《フォネティック》には対応していない。あえていうなら、Eだ。本来、《フォネティック》には、音が似て、混同しやすいアルファベットを識別し易くする、という目的があるから、ときおりことなる単語が挿入される場合はあるのだが。
 キャベツを腹一杯になるまで食べたライムを抱えて、チャーリーは非常階段を小走りで降りていた。
 ライムは、一通り食事を済ませると、痙攣していたとは思えないほどに元気になった。チャーリーは気を良くし、彼に適当な住処などを拵えてやろうと考えたわけである。
 赤錆に覆われた鉄製の階段を踏みつけると、大きな音を響かせる。ライムは一歩ごとに驚いて、腕の奥へ、腕の奥へと潜り込もうとする。「くすぐったいぞ、我慢してくれ」チャーリーは大笑いしながら、手すりにしがみついて立ち止まった。
 一階まではまだ半分ほどある。チャーリーの部屋は十階にあるから、ライムのくすぐりも相まって、彼はすでにヘトヘトになっていた。「ああ、くそ、体力落ちたな」自分の限界を認める余裕のあった彼は、大人しく歩いて階段を降り始めた。するとライムも大人しくなり、腕にしがみつくのみになった。
 非常階段の側面は、景色がギリギリ見通せる程度の間隔を残して、パイプが並べられていた。パイプは頂点から地上部分までが一本になっており、それぞれ階段や踊り場に溶接されている。
 隙間から覗く景色は、スモークがかった排気と煤でグレーに染まったビル群に塞がれており、この小憎い間隔の存在意義をも失わせようとしていた。
 建物の側面には、ビラを貼ったり剥がしたりと繰り返したのであろう、糊の混じった紙の残滓がへばりつき、不規則だが、どこかフラクタルを思わせる紋様となっている。
 
 非常階段は、建物の隙間に十字に張られた路地の終点に接続しており、そのまま、路地に面した通りに出ることができる。城の石垣めいて凹凸の目立つ石畳みの上を通る者は、あまり多くはない。こんな通りには、誰も用がないのだ。住宅と、ごくわずかな商店があるだけ。薄い靴の裏を余計に擦りへらせ、足をいたずらに痛めるくらいなら、統一商店街で事足りるのだ。
 チャーリーは地上に降り立つと、ライムの頭を撫でてやりながら、路地を出て左手に向かって歩き始めた。道は緩やかな下りになっており、帰りはともかく、足取りは軽い。
 「楽しみにしてろ、とっておきの部屋を作ってやる」突き当たりを右に曲がり、右手にある雑貨屋にたどり着く頃には、今朝見た夢のことなど、露ほども残っていなかった。
 
 雑貨屋は二階建てで、昔ながらのレンガを用いた様式で建てられていた。周囲の建物はほとんどがコンクリート造りであるので、異質ともいうべき雰囲気を醸し出していた。格子状にワイヤをめぐらせ強度を高めたガラスが窓にはめ込まれ、窓越しには、窓際に置かれた棚がために、中を見通すことはできない。
 けれども常連のチャーリーには、中を覗き見るような必要すらなかった。ベルのついた木製のドアを開けると、カラカラとカウベルのような音が響く。ライムは驚き、腕に潜り込んだ。
 中には、黒髪の若い男がいた。「やあ、チャーリー。何か良いことがあったな?」男もチャーリーという名前なので、チャーリーは彼を、苗字のウィスキーという名前で呼んでいた。《フォネティック》の、Wに対応する。「ああ、見てくれ。こいつさ」「なんだ? よく見せてくれ」言いながらも、ウィスキーはチャーリーへ歩み寄っていた。
 ライムは怯えた様子で、二人のチャーリーを見比べていた。「鼠か、飼ってるのか?」「そうだよ。うちに滑り込んできた、新しい家族さ。こいつに家を作ってやりたくてね」言いながら、チャーリーは店内を見渡して、適当なケースなどないかと、物色し始めた
 「そうか、鼠の家か」「ああ。何かちょうどいいケースでもあればいいんだが」「ちょっと待ってな」そういうとウィスキーは、店のバックヤードへ入っていった。一畳ちょっとしかない、狭い空間に、雑多に品物が置かれているのが見える。常連のチャーリーでも、まだ入ったことはない。
 チャーリーは所在なさげに、店内をうろついていた。何を見るともなしに、商品棚の上で、視線を滑らせていく。「よし、いいのがあった」店奥からウィスキーの声がするが、チャーリーの視線はある品物の上で止まっていた。
 
 数日前ここにやって来たときには、こんなものはなかった。絵画の描かれた、一枚の便箋だった。チャーリーはこれを見るや、ワテグナ、と呟いた。
 「おおい、早く来てくれ。一人で抱えるのは結構大変だ」チャーリーは慌てて、バックヤードへ向かった。ライムを棚に乗せて。
 バックヤードでは、ウィスキーが大きな水槽を抱えて、チャーリーを待っていた。それはさながら、アクアリウムでも始めようかといった、趣味に迷った男が試し買いするような代物だった。「どうだ、鼠ちゃんにはぴったりだろ?」返事を待つより前にしたり顔で頷き、「ああ、そうとも。これから大きく育っていく鼠ちゃんのためだ、これくらいは用意してやらないとな」
 チャーリーは唖然として、言葉を失っていた。二人の間に生まれた沈黙を破ったのは、背後から聞こえた大きな物音だった。「なんだ?」「何か落ちたのか……しまった、ライムだ!」チャーリーはバックヤードを飛び出し、ライムを置いていった棚に駆け寄った。
 物音の正体は、便せんの脇にあった小さなベルだった。まばらに並んだ四つのベルのうち一つがライムにぶつかって落ち、大きな音を立てたのだ。ライムは怯えて、棚の奥に縮こまっていた。口元には、便せんが咥えられていた。

 チャーリーには、確かにその便せんに見覚えがあった。厳密には、そこに描かれた絵画に、である。そっとライムの口元から便せんを取り上げ、それをじっと眺めた。そこには紛れもなく、夢で何度も出会ったあの絵画があった。「そうだ、これが、どうして」彼が手の中であれこれこねくり回しているうちに、ウィスキーも便せんを覗き込んだ。「それなら一昨日、自分で持って来たんじゃないか」「なんだって?」「ワテグナの美人。夢で見た傑作だって」
 チャーリーは訳もわからず、呆然とウィスキーの顔を見つめることしかできなかった。「僕が持って来たのか、これを?」「そうさ。覚えてないのか?」チャーリーはまくしたてるように返した。「夢でしか見たことがないんだ。起きたらいつも忘れてる。顔があったかすら定かじゃないんだぞ!」棚奥のライムを顎で示し、ウィスキーが言った。「落ち着けよ、鼠ちゃんが怖がる」「ライムだ」「オレンジじゃなくて?」チャーリーはライムを左腕に抱くと、囓られた便せんを拾い上げて、これを買いたい、と言った。返事はイエスだった。もとよりチャーリーが持って来たものなのだから、断る道理もないのだ。

 自宅に便せんを持ち帰った彼は、そこに描かれた絵画が自らの愛した、《ワテグナ》に違いないことを、改めて確認した。どれだけ思い出そうにも思い出せなかった全貌が、そこには密に描かれていた。たったハガキ一枚の範囲の中に、今や彼の半分以上が閉じ込められていた。
 勢いあまって買った水槽が、もともと広くはない部屋をさらに圧迫している。鼠一匹と言わず、十匹は飼えそうな広さだ。ライムはきまり悪そうに、新しい部屋の隅で毛づくろいなどしてお茶を濁している。チャーリーはというと、なけなしの筆記具を集めようと部屋を漁り始めるのだった。

 

 

 オスカー通りには脇道がない。文字通り一直線で、像から終端にある政府庁までを繋いでいる。そこからの土地は、丸々、政府直属の機関やらが埋めているのだ。政府保有の土地は上から見ると丁度正方形になるよう整備されており、周囲を囲う一本の道を除いては、およそ交通というものとは無縁の場所である。
 通称、《エックス・レイ》と呼ばれる機関では、地域の郵送コミュニティが完全に管理されている。正方形の空間のほとんど中央に位置するビルに居を構え、下層には警察機関、上層には、《政治グループ》の区域がはるか上空まで伸びている。
 《エックス・レイ》の廊下を、気難しい表情で歩いているのは、政府高官の、ヤンキー・ジュリエットという男だった。彼はここ数日、《集合ポスト》に投函され続けている、差出人・送り先共に不明の奇妙な便せんに頭を悩ませていた。全てに共通の油画が描かれており、いくらかは乾ききる前だった。
 《エックス・レイ》には、事前に配達物を差し止めする権限がある。この奇天烈な出来事は、陽の目を見ることなく封じられるだろう。あとは警察の仕事だ。とはいえども、市民の何者かがこれを行なっていることは紛れも無い事実である。今この瞬間にも、こいつらは投函され続けているかもしれないのだ。
 ジュリエットは改めて、差し止められた便せんの一つを見つめた。描かれた端麗な女性の眼差しが、彼を見つめ返している。
 「お前は、一体誰なんだ?」彼は通路の中央で立ち止まり、その視線へ問いかけた。彼女は答えることはなく、何も見通せない虚ろな眼差しで見返すのみだった。まるでその微笑みの裏には、本当の私は居ないのだというように。

 チャーリーは家の小さな書斎に、大きなカンバスやイーゼルが大量に押し込められているのを見つけた。床には、まだ乾ききっていない絵の具が溢れている。「なんだ、これは?」
 自分の家のことだというのに、身に覚えのない物事があることほど、気持ちの悪いことはない。彼は狂ったようにイーゼルの一つに掴みかかり、ほとんど放り投げるような勢いで引き抜いた。
 それでも、部屋に入ることすらままならない。さながらバリケードのように、特に入り口付近に、イーゼルが固めて置いてあった。視界を遮るよう置かれていた手前のイーゼルを退けたことで、それらにも絵の具がかけられていることがわかった。アクリルだか油絵の具だかははっきりしないが、固まればイーゼルやカンバスを排除することはますます困難になるだろう、と容易に想像できた。
 チャーリーは恐ろしくなり、大声で悲鳴をあげながら、イーゼルを投げ飛ばしていった。誰がこんなことをした? 何故私の家で、こんなことをする必要がある? 一心不乱に書斎の中を目指しながらも、彼は意識を、書斎の中へは向けないようにしていた。彼の直感は、バリケードの奥に待ち受ける何ものかが、途方もなく彼を怯えさせるであろうことを訴えていたからだ。

 書斎の奥では、彼の最愛の名画が、彼との再会を待っているのだった。


ワテグナの美人 #1 終り

 

 

 

 

 

 

以上になります。

 

改めて読み返すと、第3部くらいには完結していそうな感じがします。

 

 

次回は書き終え次第投稿しますので、興味があればご覧ください。

 

それでは。